ばーさんの料理本 (第5回 / 全8回)

こんにちは、コトリ1号です。

ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した65冊の料理本を紹介するシリーズ、今回は5回目。ようやく折り返し地点に来ました。
お読みになるほうも大変だと思うのですが、まだまだ続きますので、どうぞお付き合いくださいませ。
今回はかつての主婦のバイブルだった名著から、パン、フレンチ、ベトナム、中華と盛りだくさんの7冊を紹介します。

過去記事はこちらからもぞうぞ 第0回(プロローグ) 第1回 第2回 第3回 第4回

 

私の洋風料理ノート―おそうざいからお菓子まで
私の洋風料理ノート
文化出版局 1973年 / 2012年 (2,800円+税)
佐藤雅子
◎ ウースターソース入りミートローフ
Amazon 復刊ドットコム 販売ページ

コトリ1号メモ : この本が刊行されたのは1973(昭和48)年ですが、2012年に復刊されたので、有り難いことに、今も新刊本として入手可能な1冊です。昭和48年と言いますと、私はまだ生まれておりませんで、そんな頃に刊行された本にも拘らず、目次を見ると、コートレット、ドルマス、ビーフストロガノフ、ヴィネグレットソース、など、恥ずかしながら大分大人になってから知った単語がズラズラ並んでいて、ビックリした記憶があります。
本は、春夏秋冬ごとに、7つの献立(前菜、スープもしくはサラダ、主菜、デザート)を紹介するほか、アラカルトと題した軽食メニュー、台所仕事に関するちょっとした心がけやコツ、食べ物と家族に関する思い出などを綴ったエッセイもあり、折々にじっくり読みたくなる本です。
cincoさんも「宝物のように大切にしている」と仰っておられますが、その日(2008年5月8日)のコメント欄には、同様にこの本を大事に読んできた方のコメントが数多く寄せられ、非常に愛されている本なのだなぁと思わされます。
エッセイが人柄がよく表れた文体で本当に素敵なのですが、そんな人が書いたレシピが分かりやすいのは当然のことでしょう。ほぼモノクロで文字ばっかりの本ですが、とても読みやすいので不便は感じません。バリバリの洋食ばかりですが、古い本らしく、ごくごく日常で手に入る材料、調味料だけで作られているのも、素敵だと感じる部分です。
ちなみに、現在入手可能な復刊本は、表紙デザインだけはリファインしていますが、中身は昭和48年に刊行された本と何一つ変わりはありません。

私の洋風料理ノート1973

 

島津睦子のパン教室 手づくりのぜいたく
世界のパン106種と、パン食メニュー 朝食からパーティまで
』(暮しの設計148号)
島津睦子のパン教室
島津睦子
中央公論社 1982年
◎ グラハムブロート

コトリ1号メモ : 島津睦子さんといえば、やはりドイツ仕込みの質実剛健なリーンなパン、ではないでしょうか。ドイツの製パン・製菓専門学校への留学を経て、1979年から東京・吉祥寺で「島津睦子ケーキングスクール」を主宰。この本は島津さんの著書の中でも初期の頃に出されたうちの1冊ですが、いわゆる一般的なパンだけでなく、ありとあらゆる粉もののレシピが紹介されており、さながらパンの百科事典と言った雰囲気です。
なお、後年(1989年)、同シリーズ内で続刊(『島津睦子のパンの本 素敵な食卓にパン130種 手づくりのぜいたく「パン教室」PartⅡ ホテルロールから国産小麦粉・全粒粉・ライ麦粉で作るパンまで』(暮しの設計189号))が刊行されています。

 

周富徳の広東料理は野菜がうまい
広東料理は野菜がうまい
NHK出版 1991年
周富徳
◎ 広州焼きそば
Amazon

コトリ1号メモ : 周富徳さんといえば、私は『浅草橋ヤング洋品店』での、タレント顔負けの大活躍が一番印象に残っていますが、皆さんはいかがでしょうか。「浅ヤン」での大ブレイク前に出されたこの本(ムック)は、一般家庭向けのレシピ本ではあるものの、料理人・周富徳を垣間見せてくれる1冊だと思います。

 

フライパンひとつ・鍋ひとつ 本格派フランス料理集
2種の道具だけで作るレストランの味
』(暮しの設計No.227)
中央公論社 1996年
白鳥恒夫、小田倉秀昭、田代和久

コトリ1号メモ : これも「暮しの設計」の中の1冊で、名店のシェフ3人(「しらとり」白鳥恒夫、「ラ・コロンバ」小田倉秀昭、「ラ・ブランシュ」田代和久。「しらとり」「ラ・コロンバ」は現在閉店)によるレシピ集。一応、家庭で作ることを念頭に編集されているようですが、しかし、そこはプロのシェフが書くレシピだけに、使う油脂の量などは手加減がない様子。
そのため、レシピを忠実になぞるというよりは、素材の組み合わせなどの参考にするために開く機会が多いようです。2008年12月2日の記事を見ても、サーモン、ベーコン、ポーチドエッグの組み合わせをお手本に、それ以外はcinco流で再現しています。

 

ベトナム葉っぱごはん―おうちで楽しむエスニックレシピ+ガイド
ベトナム葉っぱごはん
文化出版局 2003年
鈴木珠美
◎ 魚の煮つけ
Amazon

コトリ1号メモ : 西麻布にあるベトナム料理店「kitchen」のオーナーシェフである著者の、初めてのレシピ本。ベトナム料理というと、とにかく「葉野菜たっぷり」というイメージが真っ先に浮かびますが、紹介されているレシピはまさにそのイメージ通りのものばかり。野菜をたっぷり食べたいと思っている人にとって、アイディア満載の本だと思います。巻末には、ホーチミンとハノイの簡単な観光ガイド付き。

 

アーティさんの北京的点心―ぎょうざ、肉まん、ワンタン、めんetc.
アーティさんの北京的点心
文化出版局 1997年
孫幼亭(ソン・ユーティン) ※正しくは「女」偏に「亭」
◎ 炸醤麺
Amazon

コトリ1号メモ : 「田燕居」「大鴻運天天酒楼(現在閉店)」のマダムを務められた、ソン・ユーティンさん(アーティは愛称)の初の著書。点心をテーマに、餃子、焼餅・餡餅、焼麦・餛飩(シューマイ・ワンタン)、麺条、花巻・饅頭・包子、粥、甜点(デザート)、に分けて紹介されており、これ1冊で北京っ子にお馴染みの軽食が網羅されています。
著者略歴の最後に「母に捧げるオマージュでもある」とある通り、これらはいずれも、アーティさんの思い出の味でもあるそう。だからでしょうか、紹介されている料理はどれも、素朴な温かみに満ちているような気がします。

 

アーティさんの中国ごはん 北京的家常菜
アーティさんの中国ごはん
文化出版局 1998年
孫幼亭(ソン・ユーティン) ※正しくは「女」偏に「亭」
◎ 3色水ぎょうざ
Amazon

コトリ1号メモ : 『アーティさんの北京的点心』に続く第2弾。「家常菜(ジャーチャンツアイ)」とは、「家庭風なおかず」という意味で、要はお惣菜ということ。「好吃不好看(見栄えは悪いけど美味しい)」「醇酒和飯菜(お酒とご飯)」)「羊肉双味(羊肉づくし)」などのキャッチコピーごとに、それぞれに3~5品ほどの献立で紹介しているのですが、どれもいかにも普段着のごはんという雰囲気が感じられて、見るだけでも楽しくなります。
『アーティさんの北京的点心』同様、写真が素敵に美味しそうでして、特に作るつもりがなくてもパラパラと見てしまう、不思議な本です。

→ 第6回に続く

++++++++++++++++++++
『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した料理本を紹介するシリーズ

第1回
味澤ペンシー(1)、阿部なを / 河合真理(1)、有元葉子(6)[全8冊]
第2回
入江麻木(1)、ウー・ウェン(7)[全8冊]
第3回
上野万梨子(5)、上野万梨子 / SAZABY(1)、おおつきちひろ(1)、大原照子(1)[全8冊]
第4回
小川聖子(1)、落合務(1)、片岡護(1)、川上文代(1)、北村光世(2)、熊谷喜八 / 河田吉功(1)[全7冊]
●第5回
佐藤雅子(1)、島津睦子(1)、周富徳(1)、白鳥恒夫 / 小田倉秀昭 / 田代和久(1)、鈴木珠美(1)、孫幼亭(※「亭」は、正しくは「女」偏に「亭」)(2)[全7冊]
第6回
高山なおみ(5)、竹下ワサナ / 大江ふみ(1)、ダニエラ・オージック / 横山淳一(3)、谷昇(1)[全10冊]
第7回
長尾智子(2)、濱崎龍一(1)、パンツェッタ貴久子(2)、久田大吉(1)、藤沼由美子 / ロレンツァ・ジッリ(1)、藤沼由美子(2)[全9冊]
第8回
前田廸子(1)、丸山久美(3)、山田宏巳(1)、吉田勝彦(1)、李映林 / ウー・ウェン(1)、レヌ・アロラ(1)[全8冊]
++++++++++++++++++++

Share on Facebook

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。