ばーさんの料理本 (第7回 / 全8回)

こんにちは、コトリ1号です。

ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した65冊の料理本を紹介するシリーズ、今回で7回目となりました。

今回は、長尾智子さん、濱崎龍一さん、パンツェッタ貴久子さん、久田大吉さん、藤沼由美子さんのご本を紹介します。イタリアンが多いですが、いずれも(お菓子の本を除き)野菜をたっぷり食べられるレシピが揃った本ばかりです。

過去記事はこちらからもぞうぞ
第0回(プロローグ) 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回

 

いちばん好きなお菓子だけ

NHK出版 1997年
長尾智子
◎ ミルクティーゼリー
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コトリ1号メモ : 実は、私はこの本は持っていないのですが、この本は恐らく、1996年に発売された『ERIO つくって食べたい! お菓子&デザート』(NHK出版)という雑誌をベースに作られた本なのでは……と思います(5章構成で、1、3、4章を長尾智子さん、2、5章は枝元なほみさんが担当されています)。
『ERIO つくって食べたい! お菓子&デザート』では、冷菓、焼き菓子、スクエアケーキと幅広く網羅されているうえに、NYスタイル、アメリカンカントリー、伝統的なイギリス菓子、イタリアン、フレンチ、無国籍風と、様々な雰囲気のお菓子が紹介されています。さすがに、スタイリングはやや古びた印象も受けますが、紹介しているお菓子やレシピに古さは感じません。長尾さんのお菓子が好きな人にはたまらない1冊だと思います。

 

スープブック!
―もっとスープがおいしくなる献立付き

学研 2002年
長尾智子
◎ キャベツとセロリのスープ
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コトリ1号メモ : 料理は必ずしも時間をかければいいというものではないと思いますが、しかし、時間こそが最大の調味料という料理も存在するのは間違いなく、スープや煮込みはその最たるものだと思います。この本はスープストックやブイヨンなどを使わず、時間をかけて煮込むことで素材の美味しさを引き出すレシピが紹介されています。
スープと併せてサイドディッシュやごはん、パンなども紹介されているのが有り難いところ。長尾智子さんらしい独創的な組み合わせのメニューが多く、読むたびに「作ってみたい」欲が湧きあがる本です(長尾さんの本はどれもそうなのですが)。

 

“リストランテ濱崎”のSUPER PASTA BOOK

扶桑社 2004年
濱崎龍一
◎ ふきのとうのタリオリーニ、フジッリのサラダ仕立て
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コトリ1号メモ : 「リストランテ濱崎」のオーナーシェフ 濱崎龍一シェフのパスタをテーマにしたレシピ本。「オリーブオイルベースでアンチョビを使ったパスタ」「トマトを使ったパスタ」「ひき肉のパスタ」「魚介のパスタ」「野菜のパスタ」「チーズのパスタ」の6章で、30種類のパスタを紹介。ほか、前菜、セコンド料理、食前酒を少々。
『LUCi(ルーシィ)』という女性誌(2008年2月号で休刊)で連載していたものをベースに書籍化していることもあってか、紹介されているパスタは定番とされているものが中心で、入手しやすい食材で比較的簡単に作れるものばかりなのが、嬉しいです。

 

おいしいイタリア野菜料理教室

柴田書店 2002年
パンツェッタ貴久子
◎ マッシュポテト、フェンネルとキャベツのパスタ、西洋ワサビ入り豆のサラダ、アスパラガスのビスマルク風、ナスの白いパルミジャーナ、キャベツのお酢炒め、カボチャとヒヨコ豆のパスタ
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コトリ1号メモ : 第2回で紹介した、ウー・ウェンさんの『黒酢でおかず』、次(第8回)でご紹介する丸山久美さんの『週末はパエリャ名人』、そしてこの本の3冊が、2008年に登場した料理本の中で、最も登場頻度が高かったものです。
本書では、パンツェッタ喜久子さんが主宰する料理教室「La tavola di tata(ラ・ターヴォラ・ディ・タータ)」で紹介する料理の中から、野菜料理に絞ってまとめられたもの。サラダ、フライパンで焼く、オーブンで焼く、煮込む、オイルに漬ける……といった調理方法別に紹介するほか、パスタ、ピッツァ、フリット、トルタなど、メインになる野菜料理も併せて紹介。素材別インデックス(36項目)が、地味に便利です。

 

ジローラモさんちの嫁入りレシピ―イタリアの基本のごはん

アスコム 2005年
パンツェッタ貴久子
◎ モンゴウイカとグリーンピースの煮もの、西洋わさびと豆のサラダ、パプリカのフライパン焼き、大麦入りズッパ、白身魚の紙包み焼き
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コトリ1号メモ : 本書では、パンツェッタ喜久子さんが、ジローラモさんと結婚する際に彼のマンマから教わった料理を中心に、イタリア各地の料理教室や料理上手な知人に教わった、それぞれの「マンマの味」、つまり「家庭料理」を紹介しています。
冒頭で「家庭で食べるマンマの味は、定番料理のオンパレード」とありますが、その土地に根差して受け継がれてきた味は、家庭料理であると同時に、郷土料理でもあると言えます。必然的に(ジローラモさんの実家がある)ナポリ近辺で教わった料理が多いですが、北部、南部各地の代表的な料理も数多く含まれており、バラエティ豊か。スタイリングも可愛らしく、ぱらぱらとめくっているだけでも、楽しい本です。

 

久田大吉の 中国料理馳走録

柴田書店 2002年
久田大吉
◎ 五香燻魚(マナガツオの揚げ煮五香粉風味)、脆皮豆腐(豆腐の揚げ物四川風)
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コトリ1号メモ : 東京・上野毛にある「吉華」の久田大吉さんによるレシピ本。プロ向けの専門誌『料理百科』(現在休刊)連載記事を基に編まれた本ですが、レシピや分量は殊更にプロ仕様ではなく、十分に一般家庭で対応可能なものが大半を占めています。
久田大吉さんといえば、陳健民氏に師事した四川料理の大家なので、ベラボーに辛い料理ばかりなのかな……と思いきや、意外に辛くない料理も多かったのでご安心を。「吉華」といえば麻婆豆腐ですが、そのレシピももちろん載ってますよ。

 

ロレンツァさんちの トスカーナのごちそう

主婦の友社 1997年
藤沼由美子、ロレンツァ・ジッリ
◎ なすのオイル漬け
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コトリ1号メモ : 「ばーさんがじーさんに作る食卓」に登場した料理の中で、もっとも反響の大きかった料理と言えば、「ナスのオイル漬け」でしょう。その元レシピが載っているのが、この本です。
毎日のようにお向かいさんから大量にいただくナスを少しでもたくさん、長く、そして美味しく食べるために本棚から見つけ出してきたレシピで、ブログを開設した2005年にはすでに登場していましたが(『いつも、ふたりで』でもレシピを掲載しています)、今なお作り方を尋ねるコメントが後を絶たないレシピのひとつです。また、「うちも作ってみましたよ」というコメントの多い料理でもあります。
例年、おおよそ、(ナスの皮が硬くなる前の)夏の盛りから晩夏へさしかかろうかという時期に登場するのですが、きっと今年もそれくらいの時期に登場することでしょう(2008年は7月26日に登場。9月26日の記事で詳しい作り方を紹介した記事へのリンクを貼っています)。私、コトリ1号にとっては、夏の料理と問われて真っ先に思い浮かぶもののひとつです。
この本は、トスカーナの田園地域で半自給自足的な田舎暮らしをしつつ、料理教室などを主宰しているロレンツァ・ジッリさんに取材し、古くから愛されるトスカーナの家庭料理を紹介しています。陰影の深い写真を中心に据えたビジュアルブック的な作りで、トスカーナという地域や、トスカーナ料理に興味がある人にとっては、非常に楽しい本です。

 

イタリアン定食 野菜たっぷりがうれしい

NHK出版 2002年
藤沼由美子
◎ いろいろきのこのソテー、2色ピーマンクリームのパスタ、いかとアスパラガスのガーリック炒め
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コトリ1号メモ : イタリア料理はオイリーというイメージを持つ人もいますが、イタリア各地の家庭料理を習った藤沼由美子さんによれば、それは間違った認識だと。たっぷりの野菜を少量のオイルでしっかり加熱して食べる料理が多いので、野菜たっぷりでさっぱりでヘルシーなのだそう。
本書では、「クイックパスタ定食」「つくりおきできるソースでパスタ定食」「肉と魚でボリューム定食」の3章にわけて、野菜をたっぷり食べるための25の献立を紹介。すべて、メイン+前菜もしくはサラダを1~2品の組み合わせで紹介してくれているので、バランスの良い「おうちイタリアン」が楽しめます。

 

ごはんと食べるイタリアン

NHK出版 2006年
藤沼由美子
◎ 白身魚のソテーあさりクリームソース
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コトリ1号メモ : こちらも藤沼由美子さんによる「おうちイタリアン」を楽しむためのレシピ本ですが、『イタリアン定食』と違って、こちらは徹底的に「ご飯によく合う」がテーマ。イタリアンで言う「セコンド・ピアット」(メインディッシュ)に相当する料理を日本の家庭向けにアレンジして紹介しているので、作りやすい料理がいっぱいです。

→ 第8回(最終回)に続く

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『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した料理本を紹介するシリーズ

第1回
味澤ペンシー(1)、阿部なを / 河合真理(1)、有元葉子(6)[全8冊]
第2回
入江麻木(1)、ウー・ウェン(7)[全8冊]
第3回
上野万梨子(5)、上野万梨子 / SAZABY(1)、おおつきちひろ(1)、大原照子(1)[全8冊]
第4回
小川聖子(1)、落合務(1)、片岡護(1)、川上文代(1)、北村光世(2)、熊谷喜八 / 河田吉功(1)[全7冊]
第5回
佐藤雅子(1)、島津睦子(1)、周富徳(1)、白鳥恒夫 / 小田倉秀昭 / 田代和久(1)、鈴木珠美(1)、孫幼亭(※「亭」は、正しくは「女」偏に「亭」)(2)[全7冊]
第6回
高山なおみ(5)、竹下ワサナ / 大江ふみ(1)、ダニエラ・オージック / 横山淳一(3)、谷昇(1)[全10冊]
●第7回
長尾智子(2)、濱崎龍一(1)、パンツェッタ貴久子(2)、久田大吉(1)、藤沼由美子 / ロレンツァ・ジッリ(1)、藤沼由美子(2)[全9冊]
第8回
前田廸子(1)、丸山久美(3)、山田宏巳(1)、吉田勝彦(1)、李映林 / ウー・ウェン(1)、レヌ・アロラ(1)[全8冊]
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