染錦水鳥図湯呑 〈源右衛門窯〉

蒸し暑くなってくると、やはり、麦茶の美味しい季節。

やかん(相変わらず、ツルマル印のやかんを愛用しております)に水と麦茶用の大麦を入れて火にかけ、沸騰したら火からおろして冷めるまで置いておく。ガラスジャーに移して、冷蔵庫で冷やす前には、半分くらいなくなっている…ってことが多いです。子供の頃は、冷たくない麦茶なんて…と思っていましたが、今となってはむしろ冷たくないほうがよかったりして。

気取りのないコップになみなみ注いで、ごくごく飲むのもいいですが、胃腸が丈夫でない方なので、ごくごく飲めるような入れ物でなくてもいいのよね……ってことで、小ぶりの湯呑や巨大なぐい飲み、小さめの蕎麦猪口などで、ちょいちょい飲む、という飲み方をすることが多くなりました。

夏場になると出番が多くなるのが、この涼しげな水鳥柄のコレ。


(色が濃いですが、中身は麦茶です)

 

源右衛門窯の、染錦水鳥図湯呑です。

ちなみに、「染錦(そめにしき)」とは陶磁器用語のひとつで、「染付」が施された上に「錦」を重ねた器、もしくはその技法をいいます。

ついでなので、「染付」と「錦」の違いも簡単に説明しますと、釉薬をかける前に呉須(コバルト系の絵具)で絵を描くのが「染付」、釉薬をかけて焼いた後に色絵具で描き、定着させるためにもう一度焼いたものが「錦」です。
釉薬の下に描かれるか、上に描かれるかという観点から、染付は「下絵」、錦は「上絵」と言い表す場合もあります(錦は「赤絵」「色絵」とも言う)。

この湯呑の場合は、水鳥と水草の輪郭線と、濃みの部分(地の部分を塗りつぶすことを、「濃み(だみ)」といいます) が染付、水鳥の目、水草の葉(緑)、羽(赤)、水草の花(黄)の部分が錦となります。

 

と、まぁ、蛇足はこの程度で、以下続きを……。

大きさは高さ7.5センチ、口径7.5センチ。7分目ほどまで注いだ容量は120cc。
くびれがあるおかげで、片手で握るように持っても、両手で包むように持っても持ちやすく、使いやすい形が魅力です。

とはいえ、購入した時は、使いやすいかどうかは二の次で、とにかく、鳥柄の可愛さが決め手でした。


(ラブリー)

鳥の意匠が施された器は数多くありますが、この水鳥は、いい塩梅の甘さにデザイン化されていて、必要以上に和っぽくないところも、気に入っています。

もともとは、同じ柄の花瓶を先に見かけて、まぁ、とにかく、可愛いなぁ、欲しいなぁ……と思ったのですが、なにせ、ごくごく庶民的な生活をしている人間には、有田焼の花瓶なんて荷が重い。
方皿や飯椀でも良かったのですが、もっと、身近に使いたいな……ってことで、湯呑をチョイスしたのでした。

価格は1個8000円(税別)。実は、値札を見てゲゲッと思い、2カ月ほど悩んでから、結局は可愛らしさに負けて購入に至ったのですが、今では買って良かった……と思っています、ホントに。
その理由は、この愛らしい鳥柄が第一ですが、先に書いたように、日常の器としてとても使いやすい形だったことも、とても大きいのです。

可愛いうえに、使いやすく、飽きが来ない。品のいい雰囲気のわりに、日々大活躍の、働き者です。


(お茶は勿論、コーヒーも似合います)

 

源右衛門窯のホームページでは、「器ができるまで」というコンテンツがあって、「ろくろ」「下絵付け」「施釉」「本窯」「上絵付け」「上絵窯」と、工程別に解説と2~5分程度の動画が掲載されています。

どの技術もすごいですが、特に「ろくろ」(3分52秒)、「下絵付け」(4分21秒)、「上絵付け」(4分56秒)の技は溜息もの。興味のある方は、ぜひ、ご覧になってはいかがでしょうか。

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源右衛門窯
直営店は、有田窯元店、大阪店、東京店、軽井沢店(GWと夏期の期間限定)の4つ。大手百貨店など、取扱い多数。
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