ばーさんの料理本 (第6回 / 全8回)

こんにちは、コトリ1号です。

ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した65冊の料理本を紹介するシリーズ、今回で6回目。

今回は10冊ご紹介するのですが、うち5冊が高山なおみさんのご本ということで、ある意味、高山さん特集……といえるかもしれません。ほか、タイ料理、イタリア料理、フランス料理と、多国籍な布陣でお届けいたします。

過去記事はこちらからもぞうぞ 第0回(プロローグ) 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回

 

高山なおみさんの のんびり作る おいしい料理
のんびり作る おいしい料理
角川SSコミュニケーションズ 2003年(1,500円+税)
高山なおみ
◎ あさりのそのまま蒸し、かぼちゃのぽくぽく煮
Amazon

コトリ1号メモ : 「レタスクラブ」の連載記事を基に編まれた本ということで、比較的手早く作れる料理が多く、肩の凝らない、まさに普段着的な雰囲気の料理が多く紹介されています。
今となってはお馴染みの調味料となったナンプラーをはじめ、ゆずごしょう、ディルなど、(当時は)ちょっと目新しいアクセントを使った、どことなく異国的な雰囲気の料理が多いことも魅力のひとつといえましょう。
2008年はたまたま2品しか作っておりませんが、他の年では「トマトのまるごとピクルス」「食欲みそ」「秋のサラダ」「洋風おでん」など、大活躍していた1冊です。特に鶏がらスープをベースに仕込む「洋風おでん」は、ばーさん・じーさんの、冬の定番料理のひとつになっています。

 

高山なおみの料理
高山なおみの料理
メディアファクトリー 2003年
高山なおみ
◎ 丸パン
Amazon KADOKAWA メディアファクトリー

コトリ1号メモ : 『高山なおみさんの のんびり作るおいしい料理 』と同年に出版された本ですが、万人受けする作りであろう『…のんびり作る おいしい料理』と比較すると、この本は「高山なおみ」という作家の個性が強く出た1冊だといえます。ブックデザインも個性的で、料理本としての実用性はきちんと残しつつも、写真集のようであり、フォトエッセイのようでもあり。
紹介されている料理も、「高山なおみさんの味」が好きな人は全部残らず好きだろうし、そうでない人は全体的に受け付けないのではないか…という気がします。そういう意味で、ものすごくド直球な本だと思います。最新刊の『料理=高山なおみ』は、ほぼこの本と同じスタッフで作られています。
ちなみに、おふたりともこの本に載っている「丸パン」が大のお気に入り。今もなお時々登場しますが、以前にはそれこそ三日開けずに……という間隔でブログに登場した時期もあったので(おふたりのブログで「まるパン」と検索すると、その寵愛ぶりがお分かりになるハズ)、それに影響されてお作りになった人もいらっしゃるのではないでしょうか(私はそうです)。

 

うちの玄米ごはん
うちの玄米ごはん
NHK出版 2004年(1,600円+税)
高山なおみ
◎ ゴーヤーと煮干しのチャーハン、蒸し鶏のパリパリ焼き、新しょうがたっぷり南国チキンライス、スモークサーモンとしらすの混ぜごはん
Amazon NHK出版

コトリ1号メモ : 帯に「うちのごはんは玄米が基本です。夫の生活習慣病がきっかけでしたが、そのおいしさに感動して、毎日食べるようになりました。(略)でも難しいことは抜きにして、肉も魚も普通に食べるし、たまには白米だって食べます。(略)」とあるように、健康の為と肩ひじ張らずに、気楽に作りましょうよ(食べましょうよ)と謳ってくれているのが、なんだかほっとします。
のんびり作るおいしい料理』と似た雰囲気で、ごくごくありふれた食材で、そんなに手をかけずに作れる料理が多く紹介されていて、主婦にとって大変ありがたい1冊。
「ゴーヤーと煮干しのチャーハン」は、毎年ゴーヤの消費に追われるばーさん・じーさんにとって、救世主とも言えるレシピのひとつで、例年食卓に頻繁に登場しています。そのため、私、コトリ1号にとっても夏の風物詩的なお料理のひとつです。

 

野菜だより
野菜だより
アノニマスタジオ 2005年(1,600円+税)
高山なおみ
◎ キャベツと豚肉の鍋蒸し煮
Amazon アノニマスタジオ

コトリ1号メモ : 野菜をテーマに編まれた本。表紙には「季節のいきおいを丸ごとたべる」というキャッチコピーが添えられていますが、この本にあるのはまさにそんな料理ばかり。だからといって、ベジタリアンな料理だったり、極端にヘルシーさに偏った料理ではなく、あくまで日常のおかずとしての野菜料理であるのが、何だか好ましい雰囲気なのです。
ビニールカバーをつけ、余白を多く取り、開きやすい形状に製本と、使いやすさに気を遣ったブックデザインも素敵です。

 

じゃがいも料理
じゃがいも料理
集英社 2005年
高山なおみ
◎ブランダード
Amazon

コトリ1号メモ : タイトル通り、じゃがいも1本勝負。40種類ほどのじゃがいも料理が紹介されていますが、その大半が過熱してシンプルに頂くか、乳製品と併せて調理するかのいずれかだったのですが、それこそが、最もじゃがいもをおいしく食べる方法なのだろうなぁと思わされます。加熱と言っても揚げる、炒める、蒸す、茹でるとありますし、乳製品だってさまざま。無数の組み合わせの中から、高山なおみさんが「おいしい」と感じるものが選ばれて、この1冊にまとめられている……そんな感じの本です。
表紙は牧野伊三夫さんの手によるじゃがいもの絵で、昨今の料理本には珍しいハードカバー。メリハリの利いたスタイリング、コントラストの強い写真、写真を主役に配したブックデザインと、とにかく全体的に、洋書のような雰囲気をたたえた本です。どのページをめくっても美しく、いつまでも手元に置いておきたいと思わせられます。
なお、この本を作る際に、フランスへ取材旅行をされていますが、その顛末は渡航前後の数日と併せて『フランス日記 日々ごはん特別編』にまとめられています。この2冊、まさに表と裏という感じでして、併せて読むことで、旅を通じて吸収した色々なもの(料理だけじゃなく)が本に還元されているのだと分かって、とても面白いです。

 

ワサナのタイ料理―おかずがごちそうのかんたんメニュー
ワサナのタイ料理
文化出版局 1993年
竹下ワサナ、大江ふみ
◎ 春雨スープ
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コトリ1号メモ : 日本、タイの両国で「竹下ワサナのタイ料理教室」を主宰する、竹下ワサナさんの初めての料理本。「前菜」、「サラダ」、「おかず・カレー&スープ」、「ごはん&麺類」、「デザート&カクテル」の5章に分けてそれぞれに代表的な料理を紹介しています。
北部のご出身で、日本滞在経験も豊富だからでしょうか、比較的優しい味付けのレシピが多いように思います。もちろん、しっかりタイ料理ですけれど。
レシピの脇に添えられたテキストや、テキストを担当した大江ふみさんとのやりとりも、タイの雰囲気を感じさせてくれます。

 

南イタリアの家庭料理
―地中海式ダイエットの原点 「美味と健康」にあふれた食卓

南イタリアの家庭料理
保健同人社 1994年
ダニエラ・オージック、横山淳一
◎ アンチョビー入りの赤ピーマンの付け合わせ
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コトリ1号メモ : イタリア料理研究家としておなじみの、ダニエラ・オージックさんの初めての著書。前半が「料理編」としてレシピを紹介、後半は「南イタリア料理と健康」と題して、南イタリアの伝統的な料理や食習慣がいかに健康にいいかを紹介する読み物となっています。オリーブオイルやパスタなど、素材の栄養的な話だけでなく、イタリア料理の歴史やイタリアワイン、チーズなども簡単に紹介されていて、ちょっとしたイタリア料理入門としても利用できます。
料理は、「日曜日の食卓」「カーニバルのテーブル」「元気が出るメニュー」と言ったキャッチコピーごとに3~5品の献立で紹介されているので、日常的にはもちろん、来客の際のメニュー作りの参考にもなりそうです。保健同人社の本らしく、それぞれの料理に、エネルギー、たんぱく質、脂質、飽和脂肪酸、一価不飽和、多価不飽和、コレステロール、カルシウムの数値が表記されています。

 

ラ パスタ
―イタリア家庭に伝わる手づくりの味 自然の恵みを食べて健康に

ラ パスタ
保健同人社 1995年
ダニエラ・オージック、横山淳一
◎ 墨いかソースのパスタ
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コトリ1号メモ : 『南イタリアの家庭料理』に続く第2弾で、パスタに絞ったレシピ集です。魚、野菜、豆、肉、チーズ、オリーブオイル、きのこ類の7種に大別して、35種類のパスタと7種類のサイドディッシュ、手打ちパスタのレシピを紹介しています。全体的に、油脂類を控えめにしたあっさりした味わいのパスタが多い印象です。
読み物部分は前作と比較するとぐっと減り、パスタの栄養解説と、香味野菜やハーブの解説が少々。

 

イタリア家庭の野菜料理
―大地の香り 野菜の味が生きているビタミンとミネラルの宝庫

イタリア家庭の野菜料理
保健同人社 1996年
ダニエラ・オージック、横山淳一
◎ カリフラワーの衣揚げ、赤ピーマンのフォカッチャ、野菜のオイル漬け
Amazon

コトリ1号メモ : 『南イタリアの家庭料理』『ラ パスタ』に続く第3弾で、野菜をテーマにした料理本です。「サラダ」「プリモ」「懐かしい思い出の料理」「野菜のつけあわせ(肉料理)」「野菜のつけあわせ(魚料理)」「野菜のつけあわせ(エビのグリル)」「前菜とデザート」の7章で46種類もの料理を紹介しています。
付け合わせのアイディア集的にも活用できますが、十分メインを張れる野菜料理も多く紹介されていて、いま読み返しても参考になるところが多い本です。

 

ビストロ仕立てのスープと煮込み―Joie de la cuisine menagere
ビストロ仕立てのスープと煮込み
世界文化社 2001年(1,600円+税)
谷昇
◎ モロヘイヤとオクラのスープ、ブロッコリーのスープ
Amazon 世界文化社

コトリ1号メモ : 東京・神楽坂にある「ル・マンジュ・トゥー」の谷昇シェフのレシピ本。「ごちそうシチューでおもてなし」「季節が香る本日のスープ」「受け継がれてきた各地の煮込み」の3章構成で、42種類の料理(プラス12種類の付け合わせ)を紹介しています。
紹介しているものは、いわゆるド定番の料理が中心。とはいえ、フレンチの名シェフが手ほどきをしているだけに、そのレシピは驚くほどに懇切丁寧です。分量はすべて計量可能な単位で表記されているし、切り方もきちんとサイズを指定するなど、レシピにあいまいさが一切ありません。誰もが知っている料理をきちんと作ってみたいと思う人にとって、最適な1冊だと思います。

→ 第7回へ続く

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『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した料理本を紹介するシリーズ

第1回
味澤ペンシー(1)、阿部なを / 河合真理(1)、有元葉子(6)[全8冊]
第2回
入江麻木(1)、ウー・ウェン(7)[全8冊]
第3回
上野万梨子(5)、上野万梨子 / SAZABY(1)、おおつきちひろ(1)、大原照子(1)[全8冊]
第4回
小川聖子(1)、落合務(1)、片岡護(1)、川上文代(1)、北村光世(2)、熊谷喜八 / 河田吉功(1)[全7冊]
第5回
佐藤雅子(1)、島津睦子(1)、周富徳(1)、白鳥恒夫 / 小田倉秀昭 / 田代和久(1)、鈴木珠美(1)、孫幼亭(※「亭」は、正しくは「女」偏に「亭」)(2)[全7冊]
●第6回
高山なおみ(5)、竹下ワサナ / 大江ふみ(1)、ダニエラ・オージック / 横山淳一(3)、谷昇(1)[全10冊]
第7回
長尾智子(2)、濱崎龍一(1)、パンツェッタ貴久子(2)、久田大吉(1)、藤沼由美子 / ロレンツァ・ジッリ(1)、藤沼由美子(2)[全9冊]
第8回
前田廸子(1)、丸山久美(3)、山田宏巳(1)、吉田勝彦(1)、李映林 / ウー・ウェン(1)、レヌ・アロラ(1)[全8冊]
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