ばーさんの料理本(第3回 / 全8回)

こんにちは、コトリ1号です。

「ばーさんの料理本」と題して、『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した料理本65冊を紹介するシリーズ、今回で3回目です。
添え書き程度のはずだった「コトリ1号メモ」の量がどんどん長くなっていて、自分でも冷や汗なのですが、どうぞご勘弁ください。今回も8冊紹介します。

過去記事はこちらからもぞうぞ 第0回(プロローグ) 第1回 第2回

 

上野万梨子の おそうざいフレンチ・メニュー
四季の簡単なコースからデザートまで、目新しいシンプル家庭料理
』(暮しの設計No.151)
おそうざいフレンチ・メニュー
中央公論社 1983年
上野万梨子
◎ じゃがいもとナッツのガレット、ツナ缶入りのトマトスープ

コトリ1号メモ : この本も、『優しい一皿』(入江麻木)同様、実物にお目に掛かる機会がなかなかないのですが、上野万梨子さんの他の本や、「暮しの設計」シリーズの内容の濃さから考えれば、とても素敵な本なのだろうな…と容易に想像できます。

 

万梨子のおいしいおしゃべり
文化出版局 1986年
上野万梨子
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コトリ1号メモ : 実を言いますと、この本、どういう本か全く分からないのです(スイマセン)。この本が登場した記事(2008年1月31日)の写真を見ると、フォトエッセイなのかなぁ…、と思いますが、いかがでしょうか。

 

B.L.T NEW BASIC FOODS
BLT
柴田書店 1989年
上野万梨子、SAZABY
◎ クスクスカレー
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コトリ1号メモ : だいぶ昔(80年代でしょうか)、東京・青山に「B.L.T」という、今でいうカフェのような、大変にしゃれたお店があったそうです(運営は、Afternoon Teaなどでお馴染みのSAZABY)。本書は、そのメニューの考案、監修をされていた、上野万梨子さんによる、ビジュアルレシピブックです。「B.L.T」を閉店後に「アフタヌーンティー」に引き継がれたメニューもあると思うのですが、これを読んでいると、高校生の時(90年代)に初めてアフタヌーンティーでお茶したときのドキドキ感を懐かしく思い出しました。
ハードカバーでかなりゴツイ本(B5判)ですが、25年も前の本なのに、今見ても全く違和感のないメニュー、スタイリング(千葉美枝子さん)で、見ていて楽しい1冊です。

 

パリのお惣菜屋さんのレシピ
―見ているとおなかがすいてくるおいしいメニュー

パリのお惣菜屋さんのレシピ
文化出版局 1994年
上野万梨子
◎ 牛すね肉と豆のビール煮、豚肉といんげんとオクラのカレー煮込み
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コトリ1号メモ : 上野万梨子さんが「もし、お惣菜屋『jour et nuit』を開いたら、こんなメニューを並べたい…」と思いながら編まれた本です。「軽く食べたい plat léger(軽食)」「しっかり食べたい déjeuner et dîner(ランチとディナー)」「いつでも食べたい dessert(デザート)」「満足して飲みたい boisson(ドリンク)」の4章で構成されていますが、まさにカフェのメニューブックを見ているかのような気分になります。
ちなみに「jour et nuit」は、英語だと、day and night。フレンチと言えども惣菜なので、全体的には手順が簡単なもの、作り置きがきくものが多い印象。見るだけでなく、料理本としても使い勝手のいい本です。

 

はじめまして。フランス料理
―Parisのキッチンから…フレンチメニュー基礎レシピ

はじめまして。フランス料理
学研 1998年
上野万梨子
◎ りんごのクレープ、ローストビーフのサラダ仕立て
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コトリ1号メモ : 前菜、主菜、デザートの3品で1つの献立として、11のメニューを紹介しています。例えば、鶏レバーのパテ、ひらめのベルアネーズシース、さくらんぼのクラフティ、といった具合。簡単なタイムテーブルもまとめているので、お客様が来る時の献立作りの参考にもなります。スパイスやフレンチならではの食材の解説、パリの雰囲気が感じられるコラム、巻末のインデックスなど、細部に目配りの利いた作りで、読んで楽しく、使いやすい本です。
ところで、『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』には「メンテナンスフィーはビーフ」(2008年10月26日)という記事がありまして素敵なローストビーフが登場していますが、その際に参考にしているのが、この本に載っているレシピです。
ローストビーフはお肉の形によって火入れ時間などが全く異なるので完全にその通りに作ることはないものの、ローストビーフを焼く前にはいつも、おまじないのようにこの本に目を通しているそうですよ。

 

小さなフランス料理の本
小さなフランス料理の本
NHK出版 2008年(1,600円+税)
上野万梨子
◎ 鶏と栗のワイン蒸し煮、いろいろ野菜のスープ
Amazon NHK出版

コトリ1号メモ : 上野万梨子さんの本の中で、現在最も入手しやすい本だと思います。A5変形の横本とコンパクトながら、スープ、サラダ、野菜料理、粉料理、卵料理、肉料理、魚料理、デザート、おつまみの8章構成で45品掲載。1~2皿を丁寧に作ってワインといただきたくなる、そんな感じのお料理が多いです。

 

スペイン 熱い食卓 本場仕込みのやさしい家庭料理
スペイン 熱い食卓
文化出版局 1995年(1,760円+税)
おおつきちひろ
◎ 白身魚のトマト煮込み、たことじゃがいものトマト煮込み、オレンジのさっぱりサラダ、オマールえびの米料理
Amazon 文化出版局

コトリ1号メモ : スペイン料理研究家であり、スペインバル・レストラン「アミーゴ・デ・サン・イシドロ」のオーナーでもある、おおつきちひろさんの初の著書。バルという形態が大当たりして、いまでは大人気のスペイン料理ですが、この本が出版された当時はまだまだなじみの薄い料理だったハズ。家庭で調理可能なスペイン料理を網羅したパイオニア的な一冊ですが、今でも版を重ねるロングセラーでもあります。
だいぶ昔に、スペインからのお客様を長期滞在でお迎えした経験から、ばーさん・じーさんの食卓には、スペイン料理が並ぶことが多いのですが(そもそも、おふたりのハンドルネームsesenta、cincoも、スペイン語の「sesenta y cinco(数字の「65」)」が由来なのでした)、本書は、恐らく、cincoさんがスペイン料理を作る際には、一番頼りにしている本なのではないでしょうか。
特に、本書の「たことじゃがいものトマト煮込み」は、2008年に限らず目にする機会が多く、私、コトリ1号にとっては、cincoさんを連想するお料理のひとつです。

 

大原照子の ヨーロッパのおそうざい
イギリスの家庭料理を中心にした、親しみやすい味170品
』(暮しの設計No.147)
ヨーロッパのおそうざい
中央公論社 1982年
大原照子
◎ いかとレンズ豆のハーブサラダ、焼きなすのペースト

コトリ1号メモ : 大原照子さんと言えば料理研究家の草分け的な存在のお一人ですが、1960年以降、2度のイギリス留学を経て磨かれた、センスのいいお料理とテーブルコーディネイトは、今見ても本当に素敵です。この本は、イギリスを中心とした洋風料理の紹介をする機会が多かった時期に刊行された、集大成的な1冊。「暮しの設計」シリーズらしく、読みどころ満載です。

→ 第4回に続く

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『ばーさんがじーさんに作る食卓(4)2008』に登場した料理本を紹介するシリーズ

第1回
味澤ペンシー(1)、阿部なを / 河合真理(1)、有元葉子(6)[全8冊]
第2回
入江麻木(1)、ウー・ウェン(7)[全8冊]
●第3回
上野万梨子(5)、上野万梨子 / SAZABY(1)、おおつきちひろ(1)、大原照子(1)[全8冊]
第4回
小川聖子(1)、落合務(1)、片岡護(1)、川上文代(1)、北村光世(2)、熊谷喜八 / 河田吉功(1)[全7冊]
第5回
佐藤雅子(1)、島津睦子(1)、周富徳(1)、白鳥恒夫 / 小田倉秀昭 / 田代和久(1)、鈴木珠美(1)、孫幼亭(※「亭」は、正しくは「女」偏に「亭」)(2)[全7冊]
第6回
高山なおみ(5)、竹下ワサナ / 大江ふみ(1)、ダニエラ・オージック / 横山淳一(3)、谷昇(1)[全10冊]
第7回
長尾智子(2)、濱崎龍一(1)、パンツェッタ貴久子(2)、久田大吉(1)、藤沼由美子 / ロレンツァ・ジッリ(1)、藤沼由美子(2)[全9冊]
第8回
前田廸子(1)、丸山久美(3)、山田宏巳(1)、吉田勝彦(1)、李映林 / ウー・ウェン(1)、レヌ・アロラ(1)[全8冊]
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  1. tintin on

    コトリ1号さん こんにちは。
    ばーさん、じーさんのブログはいつも楽しみに拝見しています。
    なぜ楽しみなのか、この3回目でちょっと納得でした。
    私も小さいころから目で楽しんでいたお料理本がぞくぞく!
    入江さん、大原さん、そして上野さん…。
    上野さんの本は、パリ滞在へも持参、彼の地の食材で調理したことを懐かしく思い出します。
    中央公論社の本にもずいぶんお世話になりました。
    なんとなく、目の行き所が同じなのだなぁと嬉しくなりました。
    コトリ1号メモも納得!

    • コトリ1号 on

      tintinさん、こんにちは
      お読みいただきありがとうございます。

      入江麻木さん、大原照子さん、上野万梨子さん、いずれも本当に素敵な本ばかりだと思いますが、何より素敵だなぁと思うのは、今もまだ
      こうやって大事に読まれてきた感想が聞けることです。
      上野さんのレシピを、パリで実践したって、ホント羨ましい! 日本で作るのとは違う味わいなんだろうなぁ…と想像してしまいました。
      「暮しの設計」シリーズは、見るたびに、とんでもなく丁寧に作られた本だなぁと嘆息するのですが、そういった本をリアルタイムでお手に取られていたこと自体が、大変羨ましく思います。

      コトリ1号メモも納得! と言ってくださって、励みになりました(嬉しいです!)。まだまだこのシリーズ続きますから、どうぞよろしくお付き合いください。

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