熊野皇大神社のお札

また、碓氷峠の熊野皇大神社ネタなのか…と思われるかもしれませんが、これでおしまいなので、どうぞお付き合いくださいませ。

おみくじ御守のところでも言いましたが、熊野皇大神社は、縁起に八咫烏が出てくることもあって、授与品には八咫烏をモチーフにしたものが多いのです。

それもあって、おみくじ、御守を買った後にも、まだじりじりと授与品の売り場を見ていた所、このお札が目に入ったのです。


(烏がうじゃうじゃ)

禰宜さん(と思しき男性)は、
「あ、これ、出入り口に貼るといいから」
というので、思わずではではそれも…と買ってしまったのでした。

19センチ×21.5センチの和紙風の紙に印刷されたもので、1枚300円でした。

中央にある「日本太一」という文字もそうですが、全体的に意味ありげな雰囲気のデザインだったのですが、詳しい話を聞く状況じゃなく。
取り敢えず、帰宅してから、ネットでえっちらおっちら検索。

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まずは、熊野皇大神社の授与品のページを見てみると、このお札、「烏牛王札(からすごおうふだ)」と言うようです。
これと、「日本太一」のキーワードで検索してみると、大変に歴史と由緒のある意匠なのでした。真面目に調べていくと、分厚い専門書を数冊読むレベルの内容です(汗)。

とりあえず私の理解の範囲でざっくり説明いたしますと、このお札、「熊野牛王符(くまのごおうふ)」と呼ばれることが多いようですが、由来、意匠共に、熊野三山(熊野本宮大社熊野速玉大社熊野那智大社)で配布されていたお札がもとになっているようです。

このうじゃうじゃといる鳥は、「烏文字(からすもじ)」と言われ、デザインではなく、文字という扱いのようです。

時代が下るにつれて、厄除けのお札という意味合いが強くなっていたようですが、はるか昔(江戸時代くらいの昔)は起請文(誓約書)の用紙として使われていたようで、「烏牛王」と言えば、昔の人には良く知られたお札のひとつだったようです
(「ようです」ばかりで申し訳ありません…)。

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ちなみに、中央にある「日本太一」ですが、元ネタである熊野三山のお札には、皆「日本第一」とあるんです。

どうも、熊野皇大神社のお札も大昔は「日本第一」と刷り込んでいたようなのですが、本家筋の熊野三山側から訴えられたうえ敗訴してしまったため、「日本太一」と書き換えざるを得なかった、とのこと。

熊野皇大神社の禰宜さんのブログを拝見すると、「寺社奉行の裁定により、安永4(1775)年に『日本太一』に変更…」と書かれており、そんな昔から版権争いが! と驚かされる次第です。

しかし、「第一」がダメだからって、「太一」ならいいだろって姿勢も、何だかどうなのかなぁ…とか、少し思ったり…。


(烏文字の数では負けてないが…)

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ともあれ、出入り口に貼ると良いそうなので、さっそく玄関のドアの上に貼っております。
しかし、何の御利益(厄除け)に特に強いのか、聞きそびれたのでした…。

それにしても、熊野皇大神社のトピックを調べるたびに出てくるのは、ご本家・熊野三山。
今回紹介した「烏牛王札」は熊野三山でも授与していますが、いずれもデザインが異なるのです(熊野本宮大社熊野速玉大社熊野那智大社)。

やはり、足腰が元気なうちに、熊野詣も一度はやってみたいものですな…。

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さて、前々回の記事の最後に「熊野皇大神社の見どころは次の記事にて」と書いたにもかかわらず、次の記事で書きそびれたので、ここで、個人的にツボだった部分に絞ってご紹介いたします。

この、熊野皇大神社の最大の特徴は、「ひとつの建物に二つの神社がある」と言う事だと思います。
理由は、本殿のド真ん中に県境が走っているから。


(鳥居前には県境を明示)

宗教法人法が制定されて、都道府県ごとに宗教法人の届け出を出さねばならなくなった時に、長野県側を熊野皇大神社、群馬県側を熊野神社に分割し、それぞれ独立した宗教法人となったとのこと。


(この看板が一番わかりやすく説明していたので…)

ちなみに、祀っている神様は二つとも同じなのですが、お賽銭箱は別々にあり、お参りの仕方も若干異なります。

(本殿にはお賽銭箱がふたつ。本殿の御祭神はイザナギノミコトとヤマトタケルノミコト)

 

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(「お犬さま 止め杭」とある杭がツボ。かなり古い狛犬のようです)


(申し訳ない…。でも、好天時の見晴しは最高です)


(この神社は、タイムスクープハンターでも紹介された「安政遠足」のゴール地点でもあります。健脚自慢ならばいざ


(当地はヤマトタケル「吾妻者耶(あずまはや)」詠嘆の地でもあります。歴史古すぎ)

ほかにも、「しなのき」(御神木)とか、伊達正宗が歌を詠んだ景色とか、杉浦翠子の歌碑とか、室町時代の多宝塔とか。
周囲にも、太平洋と日本海の分水嶺(を示す石)や、峠の茶屋、見晴台から見る雄大な景色(南アルプス、八ヶ岳、浅間山などが一望)など、見どころは相当に多彩で、なかなか楽しいところでした。鳥好きは勿論、歴史好き、神社好きの方、何れも様でも楽しめるのではないでしょうか。

これからの時期は寒くて大変でしょうが、気候のいい時期に軽井沢に行かれることがあれば、ここまで足を延ばしてみるのもいいもんですよ…と思います。

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熊野皇大神社
389-0101
長野県北佐久郡軽井沢町峠町2
0267-42-5749

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